働きながらの医学部再受験
講師自身が、仕事を続けながら医学部合格を目指した約3年間の記録です。
本格的に医学部再受験を考え始めたのは、2020年末頃のコロナ禍でした。家族が癌を患い手術を受けたことをきっかけに、自分自身の進路を改めて考え、医学部を目指すことを決めました。
当時は生活費を稼ぎながら受験勉強を続ける必要がありました。早朝はスーパーで品出しをし、その後は午前11時頃から夜22時頃まで個別指導塾で勤務する生活でした。受験のために仕事を大きく減らせるだけの経済的余裕はなく、秋以降は日曜日も模試で埋まるため、丸一日休める日は年間でもごくわずかでした。
十分な勉強時間を確保できたとは言えません。一方で、個別指導塾で高校生に英語・数学・理科などを教えることが、そのまま自分の大学受験の復習にもなりました。教えるために理解し直すこと、生徒の質問に答えるために調べることが、自分の学力維持と向上につながっていたと思います。
成績の変化を見る基準として主に河合塾の全統模試を利用しました。ここでは、当時の模試結果画像をできるだけ残しながら、その時期に何ができていて、何ができていなかったのか、どのように考えていたのかを時系列で振り返ります。
再受験で迷い、学び直し、合格へ進んだ経験が、現在の指導の土台になっています。
2021年|基礎固めと受験戦略
2020年末頃に再受験を決め、2021年は基礎の確認と受験戦略を考えるところから始めました。数年間、塾講師として大学受験内容には継続的に触れていたため、完全にゼロからやり直すという状態ではありませんでした。そのため、基礎事項を確認しながら、自分の学力・科目構成・各大学の問題レベルや配点を踏まえて、どこなら勝負できるかを考えることに多くの時間を使いました。
再受験では、単に勉強量を増やすだけではなく、限られた時間をどの科目へ配分するか、どの試験形式と相性がよいかを早い段階で考える必要がありました。この時期に集めた情報や受験戦略の検討が、その後の方針の土台になりました。
2022年|理科の遅れと、模試で現実を見る
第1回全統記述模試は受験せず
第1回全統記述模試は、現役生がまだ全範囲を終えておらず浪人生が相対的に高い判定を取りやすいこと、出題範囲も狭いことから、当時は受けなくてもよいと判断しました。
ただ、振り返るとこれは失敗でした。模試という明確な目標がないまま夏前まで過ごしたことで、学習ペースが緩んでしまいました。判定そのものより、「次の模試までに何を終える」という締切を作る意味で、受けておけばよかったと思っています。
第2回 全統記述模試
夏の終わりに受験しました。会場は市ヶ谷付近の法政大学だったと記憶しています。昼休みに一人で外へ出て、セミが鳴く木々の下を歩きながらシーチキンおにぎりを食べたことまで、なぜか今でも覚えています。
結果は、英語以外は医学部受験生として十分とは言えないものでした。特に理科の完成度が低く、この模試以降は焦りが強くなりました。しかし、塾では夏期講習などで通常期以上に忙しくなり、仕事を続けながら理科の勉強時間を増やすことが難しい状況でした。


第3回 全統記述模試
第3回になっても理科は十分に仕上がっていませんでした。特に生物は完成から遠く、当時は『セミナー生物』の基本問題にも不安が残る状態でした。医学部入試が近づいている時期にこの完成度だったため、かなり焦っていました。
それでも英語や数学を落とすことへの不安が強く、思い切って生物へ学習時間を振り切ることができませんでした。複数科目を同時に仕上げなければならない受験で、弱点科目へどこまで時間を投入するかという判断の難しさを痛感した時期です。


2022年 全統プレ共通テスト
プレ共通テストでは何とか8割を超えました。ただ、医学部受験で安心できる得点率とは考えていませんでした。記録として残ってはいませんが、その年度の共通テスト本番もおよそ82%程度だったと記憶しています。
2022年度は最終的に二次試験を受験せず、受験を翌年度へ持ち越しました。ここまでで、自分にはまだ理科を中心に伸ばす時間が必要だと判断したためです。


2023年|二次力を伸ばしながら、本番へ
第1回 全統記述模試
会場は渋谷の国士舘大学でした。少し距離はありましたが自転車で向かい、大学付近で駐輪場所を見つけられず、いったん渋谷駅付近まで戻ったため試験開始ぎりぎりになったことを覚えています。
この時期になっても、生物はまだ完成していませんでした。2023年から塾で生物を教えることになり、授業準備も含めて強制的に生物へ触れる時間は増えていました。それでも第1回模試にはまだ成果が十分に反映されず、かなり焦っていました。一方、英語はよくでき、そこは手応えを感じていました。



第2回 全統記述模試
会場は日本大学文理学部で、自宅から比較的近かったため自転車で受験に行きました。結果は悪くなく、特に第1回で大きく崩れていた生物が改善したことが大きかったです。
この結果が返ってきた秋以降は、仕事と模試が重なって体力的にはかなり厳しい時期でしたが、学力面について極端に不安定になることはありませんでした。「伸ばしてきたことが結果に出始めている」と確認できたことが、精神面で非常に大きかったと思います。



第3回 全統共通テスト模試
2023年はこの回で初めて共通テスト型模試を受験しました。共通テスト模試は朝から夕方まで長時間拘束され、ほぼ1日を使います。フルタイムで働いていた自分にとっては、当日の疲労だけでなく翌日以降まで疲れが残るのがかなり負担でした。
当時の自分は、共通テストについて「足切りにかからなければよい」という割り切った戦略を取っていました。共通テストの問題形式や厳しい時間制限との相性が悪く、得点を大きく伸ばすことより、二次試験型の英数理で勝負する方が自分には現実的だと考えたためです。
これは万人に勧める戦略ではありません。共通テストへの苦手意識が強くないのであれば、早い時期から対策し、夏頃までに8割台を安定させられると、その後の精神的な余裕はかなり違うと思います。



第3回 全統記述模試
第2回と比較すると生物の点数は少し下がりました。ただ、この頃には一回ごとの点数の上下だけで必要以上に悲観することはなくなっていました。英語・数学・化学・生物を含めた二次試験型の力について、ここまで積み重ねてきた学習を信じて進めるようになっていました。



2023年 全統北大オープン
この模試では数学がよくできました。北大医学部医学科は当時物理が必須だったため、生物選択の自分は医学部を志望学部として登録できず、獣医学部を志望先として設定しました。
結果として冊子掲載に入りました。志望登録は獣医学部でしたが、医学部相当の集計でも掲載圏に入っていたことが分かり、二次試験型の学力に対して大きな自信になりました。


2023年 北大実戦模試
駿台の北大実戦でも、同じ理由から獣医学部を志望学部として設定しました。この回は数学が壊滅的にできず、かなり落ち込みました。それでも英語で持ちこたえ、最終的な判定はBで、合格定員以内の位置には入っていました。
北大オープンでは数学がよくでき、北大実戦では逆に数学が大きく崩れました。模試は一回の結果だけで自分の実力全体を決めつけるべきではないと実感した例でもあります。


2023年 全統プレ共通テスト
最後の共通テスト模試は散々な結果でした。数学でマーク位置をずらしてしまっていたようで、かなり低い点数になりました。最後の最後まで共通テストが得意になったという感覚はありませんでした。
この時期は共通テスト特有の時間制限への苦手意識も強く、受験生活の中でも精神的にきつい時期でした。それでも「二次試験で逆転する」と考え、必要以上に共通テストの結果へ引きずられないようにしていました。



共通テスト本番・開示結果
本番の開示結果は 735 / 900点 でした。生物や倫理を含め、自分としても決して満足できる得点ではなく、医学部受験者の中では高い位置ではないと考えていました。
リサーチ結果はC判定でした。ただ、共通テストで大きく得点する受験戦略を最初から取っていなかったため、想定外の結果という感覚はありませんでした。むしろ「ここから二次試験で逆転する」と気持ちを切り替え、本番の二次試験へ向かいました。

この経験を指導にどう生かしているか
自分自身の受験では、すべての科目が計画どおりに伸びたわけではありません。生物の完成が遅れたり、仕事が忙しく十分な時間を確保できなかったり、模試で一科目だけ大きく崩れたり、最後まで共通テストを得意にできなかったりしました。
その経験から、学習計画は一度作って終わりではなく、実際の進捗や模試結果を見ながら修正し続ける必要があると考えています。C9 Compassで日々の学習報告や定期的な進捗確認を重視しているのも、そのためです。
また、模試についても判定だけを見るのではなく、科目ごとの完成度、失点の原因、次の数週間でどこへ時間を使うべきかを判断する材料として使います。一回のA判定やE判定だけで受験全体を判断しないことも、自分自身の経験から強く意識しています。
元noteでは、この後の国立大学二次試験の開示結果が有料部分に含まれています。公開部分から確認できない内容を推測で掲載することはせず、現時点ではここまでを掲載しています。元画像・元文章をサイト用として用意した場合は、その内容をこの続きに追加できます。
